東京地方裁判所 昭和39年(ワ)1935号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と争点〕原告は被告にたいする鋼材売掛残代金七一七、五三四円につき東京地方裁判所に支払請求の訴を提起し、昭和三七年三月一二日全部勝訴の判決をうけ、原告はこの仮執行宣言付判決に基づき、昭和三七年三月二二日被告所有の有体動産につき差押の執行をした。ところが被告はみぎ仮執行を免がれるため、同年四月五日東京法務局昭和三七年一、〇三四号をもつて金七一〇、〇〇〇円を供託したので、同月六日前記仮執行は全部取消された、他方みぎ第一審判決は控訴審上告審を経て確定した。
そこで原告は強制執行をするため被告の財産状態を調査したところ、被告はすでに倒産して了つて強制執行をする財産はなかつた。さようなわけで原告は被告のした前記執行取消の措置によつて前記仮執行宣言付判決に基く権利の実行をすることができず、同判決の認容した金員の損害をうけた。よつて原告は被告にたいしみぎ損害金の支払を求めるとともに、この損害を担保するために被告が供託した前記供託金の元利金につき還付請求権を有することの確認を求める、と主張した。
判決は原告の本件確認の訴はその利益を欠く不適法なものとして却下したが、その理由をつぎのとおり述べている。
〔判決理由〕つぎに原告が供託金の元利につき還付請求権を有することの確認を求める請求について考えてみる。本件供託金に対する担保権利者である原告が、その権利を行使して供託局に対し供託金の還付請求をする場合においては、被担保請求権すなわち請求の趣旨第一項の損害賠償請求権の存在について確定判決を取得すれば足りその上さらに前記のような供託金還付請求権の確認判決を求める必要をみない。したがつて、原告の本件確認の訴は、その利益を欠く不適法なものといわなければならない。(石崎政男)